妹の秋か

「―――きて、起きてってば」
「んん…」
ぼんやりとした頭をなんとか立ち上げて目を開くと、妹のノリコがベッドの脇に立っていた。
「まったくもう 早く起きないと新学期そうそう遅刻するよ」
呆れた様子でその妹がゆさぶってくる。
ああそうかもう新学期か。楽しかった夏休みももう終わりかと思うと起きるのがますますおっくうになってくる。


「兄さんの制服出しておいたから 早く着替えなよ」
すでに制服に身を包んでいるノリコは、そう言いながらカーテンをシャッと開き朝日を部屋に導き入れる。まぶしい。
先に行っててくれ、なんて言っても聞かないだろうな。ため息をつきながらなんとか体を起こす。


ノリコは中学を卒業し、俺の通ってる高校に進学してきた。
それ以来――といってもまだ一学期だけだが――毎日一緒に登校している。
おかげで遅刻もしなくなったし、なによりかわいい妹の制服姿を毎朝眺める事ができるため、なんだかんだ言ってもこのスタイルは気に入っている。
今日もこうして起こされて、一緒に学校へ行くのだろう。


「わかったわかった。着替えるから部屋から出てってくれ」
窓から見える空は新学期にふさわしく雲ひとつない快晴だ。





こっちも続かない